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『Jane eyre』NTLive

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5年くらい前だったか、NTLiveのTrailerを観て 釘付けになって日本のレパートリーに入るのを切望していたこの作品。昨年、配信で観ることが叶い、その素晴らしさに溜息、演出のサリー・コックソンの大大大ファンになってしまったのですが…ついに念願の日本での字幕付きの上映となったのでいって参りました。

もともと『ジェーン・エア』という作品が小学6の夏休みに出逢って以来、折に触れ読み返すほど私にとって思い入れの強い作品であるということもあるのですが、サリー・コックソンの想像力を掻き立てる大胆で斬新な手法とシンガーが狂人の妻をシンボライズするなど、生の音楽がとても重要な役割を果たしている演出があまりにも私にはド・ストライクで心も体も震える作品であります。

配信の時にはカットされていた幕間のインタビューも非常に興味深く…
元々は8時間(2日に分けての上演)の作品を、Bristol Old Vicにトランスファーするにあたり3時間半に縮めたという話。
…驚いたが正直観てみたかった。
8週間の稽古期間の最初には台本はなく、インプロを組み立てて作品が出来上がったという話。
…稽古場の片隅で目撃したかった。
この話を聞くとオリジナルキャストでの映像が観られることがどれほど貴重か分かる。
…感謝。

あまりにも多くのトキメキパートが散りばめられていて、まだ頭の中がカオスなので時間のある時に自分ためにゆっくり整理して咀嚼せねばと思っているので、きっとまた観てしまうなぁ…。

サリー・コックソンの演出は昨年『A Monster Calls』『Hetty Feather』の2本を配信で見ることができてやはり非常に面白かったので、NTLiveのレパートリーである『Peter Pan』が是非日本公開されることを願っている。

Jane Eyre Introduction


Official Jane Eyre directed by Sally Cookson Free National Theatre Live Full Performance




# by witch_aki | 2021-12-07 11:47 | 鑑賞 | Comments(0)

舞台を映像で観る…Yes or No?

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昨夜一時、Disney+の『Hamilton』の日本語字幕が消滅してSNS等で騒ぎになったけど、この作品に対する期待値の高さをあらためて実感する事件。(現在は復活)

そんなことのあった翌日にこの記事を読んだので、何か揉めたのかのかなと思ってしまったが、もしそうなら配信自体がなくなってしまうだろうから単なるテクニカルな問題なのだろうけど…。



記事は映像の提供により、劇場に足を運ぶ観客が減ることを懸念し反対している一部のブロードウェィのプロデューサーに向け発信したリンの発言。
『Hamiltonは映像提供により生で観たいという需要が増幅しているし、劇場に来たくても来ることができない人たちにも作品を提供できることは重要だ』


世界が近くなったとはいえ海外の劇場に行くのは簡単なことではないし、クオリィティの高い映像が(しかも字幕付きで)映画館公開または配信されることがいかに素晴らしいことか、私自身NTLiveと出会って実感しているので、このリンの意見に強く賛同するし、すでに世界はそういう流れになってきていると思う。
現にNTLiveは、今までブロードウェイ一辺倒だった私をロンドンに導いたし、国内でも観たことのなかった劇団の配信を観て舞台を観に行ったりしている。
勿論、単純に予定が合わなかったり、完売してしまった作品などにも有効だし、チケット代がどんどん高騰していく今、お財布にも優しいわけで、沢山の作品に触れられるのは有難い。

これからは、その中でクオリティは勿論、クリエーターや劇団の志向性や傾向などを参考に、生で観たいと思った作品や団体をピックアップしていく時代がやって来るんだろう。

コロナがなかったら配信なんて夢にも思わなかったであろう小さな団体は、その限られた予算の中でクオリティの高い映像を作らなければならないとなると負担(外注となると予算的に)も大きいから、それを解消するために団体の中に映像のクリエイターを巻き込むか、自分たちで映像の勉強して作品を作っていくことになるのかもしれない。いずれにしてもどんどん舞台制作の中に映像という必須項目が増えるのは確かだ。

海外では舞台も演出するし映画も監督するという人が結構いるのでノウハウや仕組み的なもの(もしくは考え方)ができ上がっている気がするが、日本では舞台と映画の世界の境界がまだまだはっきり分かれているような気がするので、そこら辺の改革も必要になってくるのかもしれない。


# by witch_aki | 2021-12-01 10:41 | Diary | Comments(0)

『HAMLTON』OBC Disney +

ついに…念願の字幕付き『HAMLTON』視聴。
無料お試し期間はなくなっていたもののDisney +にはひたすら感謝。

今更ではあるが…圧倒的だった。
歴史に名を残す作品とは…こういうことなんだなぁと、興奮と感動に打ち震えてしまった。

エネルギー感、スピード感、斬新でスタイリッシュな演出、過去と現代の融合、ラップだけが話題になりがちだがバラエティに飛んだ素晴らしいナンバーの数々。
そして…リン=マニュエル・ミランダのブレないスピリッツ…。

2008年 『In the Heights』の公演中に出会ったハミルトンの伝記から構想に着手
     『ハミルトン・ミックステープ』の制作を開始
2009年  ホワイト・ハウスでオープニングナンバーを披露
2013年  ワークショップをスタート
2015年  オフブロードウェイ・ブロードウェイ…伝説の誕生。

7年かぁ…。

2016年に渡米したときは全くチケットが取れず断念。
2019年に渡米したときはチケット代が高騰していて断念。
(滞在中、毎日ロタリーに応募したけど撃沈)
2021年、映像ではあるが初めて観ることが叶い…全貌を知ることができて、またしても字幕に感謝する。
さて、生の舞台を観る準備は完璧に整った。
その日はいつ?


”世界は広く、敵と味方と思える者同士も共存できるのだ”

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# by witch_aki | 2021-11-28 12:14 | 鑑賞 | Comments(0)

『The Doctor』PARCO劇場

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観終わった直後は感動体験という感覚ではなかったし、頭が10倍くらいに腫れ上がったみたいにボーッとしてたから、ちょっと考えるのを放棄した感じがある。
時間が経つにつれ捉われていた些細なことがぼんやりしてきて、自分なりに整理がついたので今の気持ちをnote。

まず、観劇中に心がザワついたシーン2ヶ所。
1つ目は2幕の冒頭シーン中、「言葉」についての問答。
言った側にその気がなくても、受け取る側がそう聞こえればそれは暴力であり、言葉=凶器なのだというくだり。

そして2つ目は2幕の最後に医師免許を剥奪された主人公が、医師であるが故に愛する人の最期を看取ることができなかったことを悔やむシーン。

人はそれぞれのMy Worldで、それぞれの価値観を持って暮らしている。
人種やジェンダー、宗教、職業、地位、死生観、etc…etc…によって生まれてくる異なる価値観。

この作品は沢山の「for example」の羅列。
そして沢山挙げられた「例えば」の中で、私には「言葉」のくだりがヒットしたというわけだ。

勿論、多様化した現代社会を全て例にとることはできないが、それがなるべく分かりやすく伝わるように選ばれたのが社会的な地位が高く、人の生死をその手に委ねられる「ドクター」だったのではないだろうか。

1幕の院内はまるで社会の縮図、そして神(信仰)とドクターの対立。
2幕は自分とは無関係な人々からの干渉とバッシングの圧力。そして医師免許剥奪と社会からの追放。(自分も知らないうちに無関係と思える人に影響を及ぼしているという恐怖)

しかし医師でなくなってはじめて、神父と人として向き合うことができ、人間としての感情が吹き出してくる。

…こう振り返ると、ある意味、よくある物語。
だけど観終わった後に不快感が残る。
リアルな嫌な感じが。
「for example」の羅列に、なんとも途方に暮れる感じが。

これからもっと多様化は進んでいく。
個々のアイデンティティを認めること=細分化に他ならない。
そうなったら究極、政治が国をまとめるなんてことできるんだろうか?
現に世界はキナ臭い方向に進んでいるような気がする。

シンプルに生きたいと、面倒は嫌だという願望。
だけど誰しもMy Worldは守りたい。

「やっぱ愛だろ?愛!」
というわけにはいかないのか?
気がつくことができないのか?
何か大切なものを失うまで。

本当は手放すべきものに気がついているのに、手放せないのかもしれないが…。


ーーーーーーーーー
etc
・益岡徹さんの声が素敵で印象に残った。スーッと台詞が染み込んでくる感じが神父にピッタリ。
 これだけの台詞劇だと心地よい声は観ていて癒し。
・下手からの窓明かり。素敵だった。
 同じ栗山さんの演出作品、世田パブで観た『チルドレン』と、ブロードウェイで観たサム・メンデス演出の『フェリーマン』を思い出す。
・ロンドンでは「カラーブラインドキャストティング」も話題になっていたようだけど、全員日本人だと、視覚的情報を覆すという驚きはない。

 
余談だがこの後に観たマーベルの映画『エターナルズ』。
(『ノマドランド』のクロエ・ジャオ監督)
同じような多様性を盛り込みながらも、愛に満ち、正義に満ちていたので救われた。
これは現実逃避なのか…?


# by witch_aki | 2021-11-23 22:03 | 鑑賞 | Comments(0)

Tick, Tick... Boom! film

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Netflixはリピートで活用させていただくとして、とにかく映画館で観たかったので行ってきた。
日本での上演…多分再演を見ているはずなんだけど遠い記憶になってしまっていてあまりよく覚えていないのでほぼ初めて作品に触れたような感覚。
とはいえ脚本に『Dear Evan Hansen 』スティーヴン・レヴェンソンが入り、ジョナサン・ラーソンの逸話を織り交ぜつつの伝記映画に仕上がっていたので純粋に『Tick, Tick... Boom!』そのものを観たという感じではないのだけれど…なんとも愛おしい作品でありました。

コロナがあって今年一年、自主企画を停止していて、来年に向けて活動を再開したところで、「いやぁ、作品を作るということは大きい小さいに関わらず色々な壁にぶち当たるわけだよねぇ」と、作品作りにおける免疫力の低下…打たれ弱い自分?…を感じていた矢先だったので、今、この映画を観たのは運命…必然だったなと思うほど、刺さりまくって、突き抜けて、風穴が空いて何かが吹き抜けた。

なのでまずは
Thank you for everything!!
…Hold on!!
という思い。

『RENT』を世に生み出すようなギフトの持ち主でも、こんな風にもがいて作品が生まれるということ。
Tick, Tick... Boom!は自分で切った30歳というリミットへの秒読み。
だけど、物語はそのリミットを越えて作り続ける彼の姿で終わる。
その後、(たった5年後!!)成功を手にした彼は35歳の若さでこの世を去り伝説になるわけだけど、生きていたら間違いなく作品を作り続けていたに違いない。

ナンバーは音楽も素敵だけど字幕から溢れ出る言葉がキラキラと光ながら迫ってきて堪らなかった。
ラストナンバーの"Louder Than Words"の歌詞は刺さりまくって震えちゃったし、その中でも冒頭からテーマのように出てくる「Fear or love?(恐怖か愛か?)」は本当に本当に共感と胸キュン。

そしてこの映画を観たら必ずや惚れ直してしまうであろう、スティーブン・ソーンドハイムとの関係。
素敵過ぎて…言葉にならない。
Sundayの様なナンバーが生まれる肥沃なミュージカルの土壌💖…あのシーンは思いだしただけで鳥肌が立つ。
そして(このシーンだけではなく)2人の天才に敬意を評してカメオ出演している名だたるスターと作曲家たち…興奮して、ただのミューオタと化す。

すでにNetflix でのリピートが始まった。
見る度に小さな発見…幸せ。

カメオ出演者詳細



# by witch_aki | 2021-11-20 11:40 | 鑑賞 | Comments(0)

歌ったり、演じてみたり、作ったり…。


by witch_aki